でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

日本初のイエナプランスクール(大日向小学校)の開校式に行ってきた。

少し前になりますが、4/27(土)に日本初のイエナプランスクール(小学校)の開校式(正確には「開校を祝う会」)に参加してきました。

 

イエナプラン?という方はこちらのサイトに詳しく書いてあります。

私もイエナプラン教育自体を詳しく把握しているわけではないので、素人の私が知っている範囲において、日本の小学校教育との分かりやすい違いは以下のような点です。

  • 複数学年が同一教室で授業を受ける。
    1~3年生、4~6年生と複数学年が同一教室で授業を受けます。
  • 子どもが学習計画を立てていく。
    教師(グループリーダー)から与えられた目標に対して、子ども自身が学習計画を立てて、それをもとに学習を進めていきます。
  • みんなで助け合って学習していく。
    先生⇔生徒のような教える側⇔教えられる側という形だけでなく、生徒⇔生徒のように従来の教育モデルでは共に教えられる側の立場でありながら、教える立場にもなりながらそれぞれの子どもが学習をしていきます。

 これらは目に見える違いですが、その違いを生んでいる根源として、イエナプランには20個の教育コンセプトがあり、実際にはそれらが従来の教育との大きな差を生んでいます。

 

今回、開校式にお邪魔したのは長野県佐久穂町にある大日向小学校です。 

www.jenaplanschool.ac.jp

2019年4月から学校が始まった、イエナプランを採用した日本初の認可小学校です。

まずはいくつかの写真をお見せします。(たくさん撮ったのですが、生徒の顔が写っているので、本当に一部だけしかお見せできないのが残念です。)

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開校式の様子(大日向小学校のHPから拝借しました)

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学校の門

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開校式の立て看板

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学校の外観

校舎は、以前に公立小学校として使われていた佐久東小学校を使っており、その当時の名残を随所に感じます。

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佐久東小学校の名残

ここで育った生徒の一人は大日向小学校でも働くようで、やはり学校は地域と連携しながら成長していくものなのだ、と改めて感じました。

また、開校式の途中でおばあちゃんと出会ったのですが、毎日の散歩で大日向小学校前を通るそうです。おばあちゃんは、佐久東小学校の時代も廃校の時代も知っており、大日向小学校ができたことで、再び子どもがあふれる元気な街となったことがうれしいとおっしゃっていました。

 

 

さて、ようやく開校式のお話です。

上に載せた写真にもあるように、雰囲気は通常想像する開校式とは大きく異なります。

通常では、壇上で誰かが話しそれを座して聞く、という形式だと思いますが、イエナプランの授業のように円になって話を聞くというスタイルで、とても新鮮でした。

 

開校式の中で印象的だった内容をいくつか挙げます。
※録音ではなく記憶を頼りに書いているので、厳密には違う表現かもしれないです。

 

■設立者である中正雄一さんの言葉

大学などの上が求める教育ではなく、子ども本来の個性を伸ばしたいから、小学校にこだわった。

私自身は、やはり社会が求めることを意識しながら教育というものを考える節があるので、この言葉は新鮮でした。

幼稚園や保育園で子どもの個性を尊重した教育を受けられたとしても、その先の小学校でそういった教育を受けることができない、という課題があることは認識していますが、中正さんの考えはおそらくそういった問題意識を背景にされているのかなと感じます。

私自身がビジネスの場にいることから”上”を意識した教育という考えが強かったのですが、子ども自身の個性を尊重しそれを伸ばしていく教育というのは私にとって新たな発見でした。

 

■日本イエナプラン教育協会特別顧問のリヒテルズ直子さんの言葉

生徒の皆さま、この学校は生徒の皆さんが育てる学校です。
この学校は見守って育てる学校。保護者は理解してください。
学校の先生方は張り詰めた気持ちでしょうが、失敗を恐れないでください。イエナプランでは失敗を許す教育なので、先生の皆さまも生徒にそれを見せてください。

イエナプランという教育を表している表現だと思います。

成長のためには失敗を重ねる必要があり、その積み重ねによって生徒自身が成長し、学校も成長していく。

そして、そういった成長を促すコンセプトなのがイエナプランだ、 とおっしゃっている気がしました。

 

JAS(イエナプランスクールの教師を育てる組織)の方の言葉

地理や数学や国語と分けているのは、大人の頭の中だけにすぎません。子どもは繋がりを感じられる。

たしかにその通りだなと思いました。

教育は大人が子どもに提供するものですが、子どもの考え方・捉え方をしっかりと理解しておかないと大人の都合で子どもへ教育をすることになるな、と当たり前ですが改めて感じました。

子どもを育てること。犬の散歩をするときに、きつくリードを持ってると、犬は学ばないし失敗しないし苦しい。リードを緩く持つことで、犬は失敗ができる。

リヒテルズ直子さんと同様に、イエナプランの考え方を表していると感じました。

たしかに子どもは放っておくといろいろな迷惑をかけたり、危ない思いをするかもしれないですが、ある程度の”ゆとり”を持っていないと失敗して成長する機会も奪ってしまうということを分かりやすく表現していると感じました。

 

こういった話をいろいろ聞くことができたり、イエナプランでの授業風景を見ることができたのは自身にとって非常に有意義な機会でした。

また、日本での学校教育界にとって大きなイベントに参加できたことも非常に幸運でした。

オルタナティブ教育に注目が集まっていますが、私自身は継続的にこういった学校や情報に触れながら、今後の日本にとって必要な教育を考えて行こうと思います。

 

 

最後に、大日向小学校と直接関係はないのですが、学校のある佐久穂町にあるこのドーナツ屋さんがおいしかったので、近くに行く際にはぜひ立ち寄ってみてください。

www.welcometomikko.com

では!