でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

学歴で評価する時代から脱却する方法(2:学歴から脱却する方法)

前回のエントリでは、”学歴”が社会で用いられる理由やその弱点を述べました。 

dewahisashi.hatenablog.com

今回は、就職活動において学歴という概念から脱却するための方法を考えていきたいと思います。なお、今回提示する方法論は私が考えている方法ではありますが、現時点での実現はできていないものです。また、将来的にこういった取り組みをしていきたい、と考えているものです。

1.”学歴”から脱却する方法

 前回のエントリで、学歴は学生を評価するための指標として活用できる側面はあるものの、いくつかの理由により全てを網羅した指標として活用することはできない。また、そういった側面があることを理解しながら、企業側は他に代わる指標がないため、学歴を採用し続けている。ということを述べました。

以上を踏まえると、現在の学歴で落ちている要素をカバーできるような指標を用意することができれば、企業も学生も学歴を使わずに評価をすることができます。

私が考えているのは以下のようなものです。

  • 評価する組織 :第三者の機関
  • 評価時期   :通年
  • 評価内容   :社会人に求められるスキル一般

すごくかいつまんで言えば、英語能力を外部機関が測定するTOEICの社会人スキル版のようなものをイメージしています。(英語力を各企業がテストして測るのではなく、第三者機関が測った結果を企業が活用しているのと同じです。)

1.評価する組織

まず、評価する組織を学校から第三者機関にシフトさせます。

学歴は、各学校の入学試験の難易度によって偏差値が担保されることで、学歴に信頼が置かれています。そのため、学校の入学試験の難易度に変化が起きると、学歴の信頼度も自然と変化が発生します。

そういった学校に依存した評価方法ではなく、第三者機関が一定の水準で評価を行うことで上記の課題を解消します。

2.評価時期

これは第三者機関が評価をすることで実現するメリットです。

学校が実施する限り、年に1回の受験タイミングでしか評価は行えませんが、独立した組織が評価をすることで、受験タイミングに縛られることなく、学生をいつでも評価することが可能です。

副次的効果として、学生は1度きりの試験ではなく、何度かトライしていくことでスコアアップを図ることが可能となります。

3.評価内容

社会で求められる能力を広く評価する必要があります。

例えば、コミュニケーションスキル(聞く・話す・読む・書く)・チームワークといった能力も当然評価対象となります。この評価項目の設計は一番の肝となります。

また、学歴・偏差値は相対評価ですが、絶対評価を用います。相対評価では表れにくい各人の得意分野や総合力をフラットに比較することが可能となります。

また、こうなると評価対象者を学生だけに留める必要もなく、社会人にも活用が可能です。そこでも、絶対評価を用いる意味は出てくるのですが、学生と社会人を比較することも可能となります。

2.この仕組みによって解決する問題

実はこの仕組みを実現することができれば、多くの問題が解決すると考えています。

1.大学が減ることでの国の財務状況改善

現在は大学全入時代に突入しており、大学に入って純粋に学びたいというより、なんとなく大学に入る、という学生が増えています。その理由は、企業側がそうであるように学生側も大学に入らないと就活で不利になるから大学に行く、というものです。

その結果、数多くの大学ができていますが、少子高齢化の世の中には明らかに不釣り合いなほどの数があり、多くの補助金が使われています。

この仕組みが実現すると学生は必ずしも大学に行く必要はなくなります。(企業側も学生側も第三者機関の評価結果を見て行動するようになるため。)

そうなると、定員割れを起こす大学が増えていき、自然と必要な大学だけに絞られていくことになります。(日本の財政も多少は改善するはず。)

2.企業の採用コスト減

学歴よりも社会に役立つ能力を正しく測る指標をもとに採用を決めることができるため、企業側もより必要なポイントに絞った見抜きに変更することができ、採用コストが下がります。

この仕組みを使うとスキル面の評価精度は上がりますが、その会社の風土に合っているか等、企業側が確認しなければいけないことは残ります。しかし、従来と比較すればポイントが絞られている分、採用にかける時間は激減するでしょう。

また、副次的には入社後の教育コストも下がると思います。

3.実現可能性

しかし、当然これの実現は非常に困難だと予想されます。ポイントは2つです。

  1. 評価には大量の時間投入が必要
  2. 三者機関の評価に信頼が持たせられるか不透明
1.評価には大量の時間投入が必要

コミュニケーション能力やチームワークを見るためには、やはり面接やグループディスカッションといった手段を用いないと見極めることは難しいと思います。

その結果、評価には大量の面接やグループディスカッションが必要なので、非常に高コストな組織となる懸念があります。

ただ、最近はAIによる音声認識技術や画像認識技術が進んでおり、全てを人がチェックしなくとも機械による評価も可能な未来が近づいています。アメリカでは一部の職種においてはAIでの評価も始まっています。

2.第三者機関の評価に信頼が持たせられるか不透明

ここが一番の肝なのですが、TOEICが長年の歴史で英語を測る指標として認められてきたように、この評価が適切に行われていることを社会に認めてもらう必要があります。

評価項目を定めることすら困難な数値化しにくいファジーなテーマを扱うため、人によって評価が大きく異なるといった事態は避ける必要があります。

4.まとめ

正直上記のような案を実際に実現するのは非常に困難なことだと考えています。おそらくこういったことを実施しようとすると抵抗勢力もあると思います。

しかし、現在の学歴偏重の仕組みを変えることができれば、国際競争力もついていくと考えているので、私としてはぜひとも実現したいものです。

では!