就職活動において学生がやっている企業分析はあまり価値が無いけれど、あまりにも無知では話にならない、ということを前回のエントリで触れました。
今回も前回と同じように「就活ノウハウ本には載っていない切り口」で世の中を切ってみたいと思います。
それがタイトルにある「創る」職業 と「使う」職業の違いです。
もちろん「仕事」である以上、何らかの付加価値を生み出しているので、考え方によっては全ての職業が「創る」仕事であると言えます。
ただし、ここで言及する「創る」仕事と「使う」職業の差は、何らかのモノを生み出す職業か否かという点だと理解してください。
例えば、「創る職業」の代表格は日本のお家芸である製造業です。
車・飛行機・船舶等の製造業は、創る職業として分かりやすいと思います。
また、農業や職人の作る工芸品なんかも創る職業に該当します。
最近では、ITシステムを構築するプログラマなんかもモノづくりをしています。
一方で、「使う職業」の代表格はサービス業です。
サービス業では、仕入れたモノを用いてお客さんへ(モノが伴わない)サービスを提供しています。
スーパーのレジ打ちをイメージすると分かりやすいです。
レジ打ちの人は、確かにモノを販売していますが、販売するモノ自体を生産しているわけではなく、仕入れたモノを「利用して」お客さんに販売しているだけです。また、レジ自体(店員さんがピコピコやってる機械そのもの)も、どこかの会社が作ってくれたものを「利用して」います。
このように説明すると、例えばSONYなら創る会社だし、EAONなら使う職業か!と思う人もいるかもしれないですが、会社単位で見ればその通りだと思います。
しかし、就職活動に臨んでいる皆さんが、その視点だけで会社を見るのは危険です。
「会社単位」での見え方と、実際に自分が働く職種の見え方は大きく異なります。
実際には自分がどんな職種で働くのか、までイメージしないと
SONY=創る仕事 EAON=使う仕事
というイメージで就職し、会社に入った後に「思ったのとちがったー。。。」となります。
もう少し具体的な話をします。
SONYのような家電メーカーには様々な職種があります。(ここではSONYが手掛けている金融系等の商売は省いて、純粋な家電メーカーとして取り扱います。)
例えば、SONY内には以下の職種があります。(調べてないですが絶対あります。)
ざっと書きましたが、SONYほどの大企業になれば、きっと他にも色々あると思いますし、細かく分かれていると思います。(この辺りは会社の「組織図」から想像することが可能です。)
では、上に挙げた中で「創る」仕事をしているのは、どこでしょうか?
一つ目、「生産」です。
分かりやすくモノを作っていますよね。
実際には工場で生産ラインに立って、製品を加工したり組み立てたりします。
二つ目は、「製品開発」です。
製品開発では、世の中の動きを察知して、市場に対して価値のある製品を生み出すことがミッションです。
三つ目、「情報システム開発・運用」です。
会社内で使われているシステムを構築し(作り)、それをメンテナンスする職業ですが、ここでは会社の仕事をサポートするためのシステムを構築します。
会社によって情報システム部門がサポートする範囲は異なるのですが、会社HP等の構築に関与しているケースもあります。
少し極端ではありますが、他の職種は全て「使う」職業です。
例えば営業であれば、製品開発や生産によって生み出された製品を「利用して」、お客さんに販売することが、営業の役割です。
言い方を変えると、SONYといえども、ほとんどの職種が「使う」職業なんです。
従って、モノづくりをしたい!と思ってSONYに入社したとて、本当に「創る」職業にたどり着けるか、と言うと、配属次第では分からないのが実態です。
(というか、そういう分からなさを残しているのが”総合職”というものです。)
就職活動をしている際には、自分がどんな働き方をするのかイメージできないところもあると思います。
特に会社単位での就職活動しかしていないと、会社による違いは分かっても、そこで自分がどんな働き方をするのかイメージを持っていないことも多いと思います。
- 営業と経理と広報では、どんな働き方の違いがあるのか。
- それぞれの職種ごとに、何をミッションとして働いているのか。
そういったことこそ、入社間もない人にとっては一番大きな影響があるので、しっかりと想像を働かせた方が良いと思います。また、分からなければOB訪問等で聞いた方が良いポイントだと思います。
正直、新卒1年生にとってSONYとPanasonicの違いなんて、働く場所とか以外はどうでもいいと思います。(SONYとSamsungであれば、しっかりと考えてください!)
少し話が横道に逸れてしまいましたが、
就活生の皆さんがどの会社で働くのかを考える際には、
- 「創る」職業
自分自身が何かを生み出した結果が、価値となる職業 - 「使う」職業
誰かが生み出したモノを用いて価値を生み出す職業
といった違いを意識して、会社説明会や社員面談に参加するのが良いと思います。
一番大事なのは「自分がやりたいのはどっちの職業なのか」という点です。
「創りたい」と思っている人たちは、使う職業にいたとしても、やっぱり作りたそうにしています。私自身は「作りたい!」と強く思うことが無いのでピンと来ないのですが、創りたい人たちは、スキを見つけては何らかのモノを作っています。
自分がどういう働き方をしたいと思っているのかを、少し具体的にイメージしてもらいたかったので、こういったテーマを挙げましたが、少しでも就職活動の参考になればと思います。
では。