でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

コロナ後の美容院・床屋の生き残り方・営業方法を考える。

昨日、買い物等を除いて1.5か月ぶりに外出し、美容室に行きました。

美容室でも、やはりコロナの話題で持ちきりでした。私の通っている美容室は、座席数も通常営業時よりも減らし、ドアを開けた状態で営業していました。

 

徐々に営業が通常に戻りつつある中で、今後の美容室でのビジネスについていろいろと話してきた中で、私が考えたことを残しておきます。

 

定性的な情報ですが、明らかに客数は減っている、とのことです。

とはいっても、現在は営業時間を短縮しているなかでも予約は埋まっているような状況とのことでした。(少し前は、予約が空いている時間も多かったようですが。)

 もちろん美容室によって状況は違うでしょうし、地域による差もあると思います。中には年間パスポートのようなものを販売しているところもあるようです。

店員さんは、営業時間を通常時に戻した時には、予約が埋まらないのでは?と不安を感じていたと同時に、「今後どうなるんだろう?」と心配していました。

 

 

そもそも美容室のビジネス形態は、「店員」が「お客」の髪を整えることが本質です。

ただ、これはお客側のニーズを店員が解決する、という形になっているだけで、お客側のニーズの根っこには「自分の髪を整える」ことにあります。

自分の髪を整えるだけであれば手段は、

  • 美容室や床屋に行って、髪を整えてもらう
  • 自分で髪を整える
  • 家族に髪を整えてもらう

といったパターンが考えられます。

人と接することが敬遠される世の中になった今、美容室の競合は他の美容室/床屋だけでなく、「美容室に行く意味」にも焦点が当たるようになると思います。
(実際、緊急事態宣言中に美容師による髪の切り方動画がYouTubeに挙がっていました。)

そうなると、美容室が考えなければならないのは「美容室に来てもらう価値」って何?というポイントだと思います。

私は美容室でもカットしかしてもらわないため、美容室のサービスの全体は把握できていないのですが、話を聞いている限りでは以下の機能がありました。

 

<髪を整えるにフォーカスした機能>

  • カットする。(ぼさぼさの髪を短くしたり、まとまるようにしたり)
  • 染める。(カラーリング)
  • ツルツル?つやつや?にする。(トリートメント)

<お店そのものにフォーカスした機能>

  • お店のインテリアを楽しむ(おしゃれなお店って良い!)
  • お店のサービスを楽しむ(おしゃれな雰囲気で雑誌を読む)

<店員さんにフォーカスした機能>

  • 店員さんとの会話を楽しむ

 

だいたいこんなところでしょうか。

最初に髪を整えるのが、美容室のビジネス形態の本質と表現しましたが、当然その要素もありながら、美容室としては、これらのサービスを全部提供できる場所として機能している気がします。(その中で、お客さんがどこに優先度をつけるかによってお店選びが変わる、と。)

これらの機能を総合して提供しているお店は、おそらく美容室と床屋くらいしか無いと思います。特に、「髪を整える」という点は、美容師資格が必要となることから、参入障壁となっています。

もともと、<お店そのものにフォーカスした機能>や<店員さんにフォーカスした機能>には別の競合がいます。例えば、カフェやバー・水商売なんかもそうかもしれないです。(実際、お客さんとのトーク研修のようなものがあるそうです。)

その中で美容室が美容室で成りえたのは、やはり<髪を整える>ことに強い付加価値があったからだと思います。

 

今コロナによって起きているのは、「髪を整える」ということを当たり前に美容室/床屋でやっていたことに対して、「本当に美容室で切らなきゃダメ?」という問いを投げかけられた点にあります。

 

さすがに、これから一生自宅で切るぜ!!という人は多くないと思いますが、「3回に1回は家で切ろう」と思う人は一定数存在すると思います。

そうなれば1回分の売上が落ちてしまうため、これまでと同じような営業方法を取ることは難しくなります。これは、これまでの売上の落ち方とは明らかに異なります。

①他店に行ってしまった顧客が発生することによる売上低下と、②そもそも市場から人がいなくなったことによる売上低下は別物です。

①では市場全体の規模は変わっていないのですが、②では市場全体の規模が縮小してしまいます。TVとYouTubeの関係に似ているでしょうか。TVを見る全体の人数が減っているのか、別のチャンネルに視聴者を奪われているのか、は大きく意味が異なります。

そして、当然②市場全体の規模が縮小している方が状況は深刻です。

 

今すぐその状況が来る、とは思いませんが、3~5年くらいのスパンでは起きえます。

今までは家庭用の髪切用はさみとバリカンくらいしか売っていませんでしたが、おそらく各メーカーはこういった状況に目を付け、もっと簡単にできる家電を売り出すでしょう。(ヘルメットみたいなやつを被れば30分で髪が切れちゃう!みたいなやつが出たら大変。。)

 

美容室は、この状況に対して手を打つ必要があります。

美容室/床屋と各家庭での比較をしてみました。

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美容室/床屋 と 家庭での比較

赤字で書いているような箇所のどちらを強く推していくのかがポイントかと思います。

例えば、<髪を整える品質>を推していくのであれば、

  • 今のビジネスの延長
  • 家庭で切る際に失敗しない方法のレクチャー(対面・オンライン両方)
  • 自分で切った後の手直しだけやるサービス(時間がかからない分安く)

とか。(家庭で切る際に困りそうなことを助けると、新たな市場にも入っていけます。)

<使う時間の特別感>を推していくのであれば、

  • いっそめちゃくちゃラグジュアリーにして、値段を上げる
    (マッサージも”ついで”じゃなく、がっちりやっちゃう、とか。)

とか。

力を入れるべきポイントを明らかにしたうえで、そこに様々な対策を打っていくのが良いのではないかと思います。 

 

思ったよりも長くなってしまいましたが、こんなことを考えて行動していけば、今の美容室からの進化もできていくのではないかと思います。

競合となる他店舗との戦いもあると思いますが、新たなプレイヤーが存在感を増していくと思うので、美容室/床屋だけでなく、他の業界も同じように考えていく必要があるな、と改めて思いました。

では。