以前に、日本初のイエナプランスクール(大日向小学校)の開校式に行ってきた、という記事を書きましたが、その小学校が作られていく過程を書いた本を読みました。
大日向小学校のHPはこちら。
以前にMakuakeでプロジェクト化されており、それに申込んでいました。
2冊申込んでいたものが届いたので、さっそく読んでみました。
作者の想いを正確に伝えられないため、一部引用はしますが、書籍の細かな内容は記載しません。
(内容が気になる方には申し訳ないです。)
今回は、これを読んだ私の感想を中心に書きます。
開校を祝う会に参加させてもらったことからわかるように、私自身もこの学校にはわずかばかり関与しており、今回の書籍化は楽しみにしていました。
”わずかばかり”というのが肝で、私は本当に一部しか学校が作られる過程を知らないため、その前後に何があったのか、どんな想いがあって作られたのか、といったことを知ることを、非常に楽しみにしながら、本書を読み始めました。
一番強く感じたことは、
学校を作り上げることへの想い・熱量の大きさ
でした。
本には、
- 著者の経歴(イエナプランとの関り等)
- イエナプランとは何か
- 学校建設に至るプロセス・大変なポイント(特に地域との関り)
といったことが書かれているのですが、全章を通じて感じたのが想いの大きさです。
「自らの出身地じゃない場所に、小学校を作り上げる。」という一見すると無謀に思え、実際にやってみると非常に困難な取組を遂行していくためには、想い・熱量が大きくないと成し遂げられないのだ、と言い換えることが可能です。
私もプロジェクト実行・推進を生業として働いているので、一般的な社会人と比べると一日の長がありますが、学校を作り上げることを一つのプロジェクトとして見た時に、求められる能力は大きく違う、と感じました。
私のような仕事で求められる能力は、ゴールを定義したり、スケジュールを引いたり、品質を高めたり(基準を下回らないようにしたり)、予定通りにプロジェクトを進めていくような能力で、「スキル」に該当するものだと思います。
一方で、今回のような大きな取り組みを実現する時には、多くの人を動かしていく必要があります。本書でも
一人で学校を作ることはできない
と述べられ取り、学校内部の関係者・関わる業者・佐久穂町の行政・佐久穂町の地域の人たちなどとの関わりなくして学校はできず、多くの人を動かす必要があります。
そんな人たちを巻き込み・動かしていき・実現にたどり着くためには、想いの大きさが必要なのだと感じました。それを平たく言ってしまえば、「マインド」に該当するものだと思います。
スキルとマインド(あるいはマネジメントとリーダーシップ)のような表現を使うと、すごく薄っぺらい気がしてしまいますが、私が感じたのはマインドの大きさ・発信することの大切さです。これを無くして、複数の関係者を巻き込んでいくことは不可能だったのだろうと想像されます。
もはや想い・熱量が多ければ、細かいスキルなんてどうでもいいじゃん!と思うくらいに、何かを成し遂げたいという強い想いが大事だと感じさせられました。
本の感想とは少し外れてしまいますが、私個人として、強い想いを持つ必要性は、今年に入ってから感じることが多々あります。
不思議とそういう出来事が自分の中で重なり、本書からも同じように感じたのは、何かのきっかけかな、と。
次に、学校を新しく作る情報が詰まった本が世の中に出たことのは非常に価値が高い、と思います。
学校が新しく設立されることはありますが、その中でどんなことが行われているのかが説明されているものは多くありません。設立する人にとっては、1度きりのことなので、次の人に向けて知識・経験を残しておこうと考える人が少ないことが原因だと思います。
じゃあ、口伝で伝えていけばいいじゃんという話なのですが、学校設立の経験者も多くない実情を考えると、本書は新しく学校を作る人たち向けのガイドラインになると思います。(現在50歳以上くらいの人たちだと、若かりし頃に新しくできた学校に入学した経験を持つ方は多いようですが、さすがに作ったことはない。)
事実、学校設立にあたってのタスクを一覧化しようと思い、参考情報を集めた時期があるのですが、なかなか参考となるものが見つかりませんでした。
書籍のタイトルがそれなので、この価値は当たり前なのかもしれないですが、これまで当たり前にありそうな参考情報が多く出回っていなかったことを考えると、この書籍は有難い情報が集約されたものだと思います。
最後に、設立時には地域を本当に大切にする必要がある、ということを感じました。
(一つ目の内容とやや重なりますが。)
大日向小学校を作った方々が共通して、地域との関係を非常に大切にする、と考えていることが書籍を通して伝わってきます。
それを無くして大日向小学校は設立できなかった、というメッセージにも受け取れます。
本書の中にも
「学校が地域から無くなる」ということは、地域がだんだんと小さくなっていくことにつながり、それくらい「学校」という存在は地域に大きな影響を与えてしまうものだ
という記述があり、学校周辺地域に対する責任感を背負って、学校づくりに携わられたのではないかと感じます。
学校の役割は、学校にいる生徒への学力向上のみならず、地域コミュニティづくりにも一躍買っていたことを、改めて感じました。
今回この書籍を読んで感じた大きなポイントは、こんなところです。
イエナプラン・新しい学校づくり・大日向小学校のことなどが書かれているので、興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
参考:日本イエナプラン協会
では。