でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

「文学」と「現代小説」の違い

先日フランス人の人と話をしていたところ、文学作品の話題になりました。

夏目漱石太宰治森鴎外など幅広い作者について話しましたが、フランス人の彼から驚きの一言がありました。

「日本人相手に文学の話をしたことはあるけれど、ここまで話せる相手はいなかった。」

私が驚いたのは、私と接する前に接した日本人では文学の話ができなかった、という点です。

 

というのも、私自身も文学作品を多く読んでいたわけでもないですし、上に挙げた人たちでさえも各作者1冊~2冊程度しか読んだことが無いレベルの知識なので、文学を愛する人たちから比べれば、はるかにレベルは劣ります。にもかかわらず、その程度でフランス人の方からそういった反応が来るとは。。。というのが私が驚いた根源です。

(ちなみに、フランス人の彼と話した言語は日本語なので、言語の壁はないです。)

 

ちなみに私は、マンガ以外には読書と呼べる読書はしないまま大学に入学しましたが、読書をしていないという危機感は持ちながら生活をしていました。

そこで一念発起で読書しよう!と思い立ち、読書=小説=文学というイメージが高校時代についていたので、文学作品(宮沢賢治夏目漱石太宰治森鴎外川端康成三島由紀夫等)を1年間ほど読んでみた、という感じです。

その後、読書には文学以外もたくさん存在することに気づき、現代小説(東野圭吾)を読んでみたら、その読みやすさに驚いた、という記憶が鮮明に残っています。

それ以降は、文学はあまり読まずに現代小説を中心に読んでいます。

 

そんな程度の私ですが、どうやら普通の日本人よりは文学に詳しいようなので、ライト文学読者の私が感じている文学と現代小説の違いを今日はお話したいと思います。

  

 

まず、文学と現代小説の大きな違いは「読みやすさ」でしょう。

読みやすさと一言で言っても、様々な種類が存在しますが、単純に日本語としての読みやすさが大きく違います。

文学は、作者の生きていた年代によっても異なりますが、漢文・古文を主体としていると思わせるような表現が多々あるため、今の私たちからすると非常に読むのに疲れます。

小説を読むときには、文字⇒映像へ変換しながら読むと思うのですが、その変換に時間を非常に要する、と言い換えてもいいです。

その点現代小説は、今の時代に合わせた表現なので非常に読みやすく、文字⇒映像への変換はたやすいです。(もちろん、普段どれだけ文字に触れているかに寄りますが)

ここで文学を挫折してしまう人は多くいるような気がします。

 

次に、物語としての面白さです。

私が感じているのは、文学は干物、現代小説はガム、みたいな感じということです。

文学の世界観は、上記の読みやすさの問題もあり、とっつきにくく、ストーリーとして面白さを感じにくいと思っています。しかし、じっくりと読み進めていけば、物語全体でのメッセージや随所にみられる表現には「をかし」な感覚です。(その観点において、芥川龍之介太宰治は好きです。)

一方で、現代小説はエンターテイメント性が高く、次の展開が気になるようなストーリーです。次の1ページを開きたくなるような仕掛けが随所に凝らしてあり、寝る間を惜しんで読みたくなるのは現代小説です。映画のようなスピード感を感じながら読み進められるのは現代小説の特徴ではないかと思います。

上記のような違いを感じているため、

  • 読むのは多少苦痛が伴うけど、じわじわと楽しめる文学=干物
  • パッと楽しめるエンターテイメント性のある現代小説=ガム

のような感じで私は捉えています。

 

 

これらの特徴は、小説の世界だけでなく、マンガの世界も同じでは?と思っています。

マンガの世界は小説と比較して歴史が浅いため、文学のような作品は多くないのですが、マンガの祖である手塚治虫作品には文学に通ずる感覚を持っています。

手塚作品は、コマ割りやストーリー展開等、今と比較すると正直読みやすいとは言い難いと思います(少なくとも私には)。しかし、どのマンガもメッセージ性が強く、今読んでも感じさせられるものが多い良質な作品が多く残っています。

一方で、今の漫画は映画のような感じで、エンターテイメント性は高いのですが、メッセージ性は手塚作品の時代と比べると、そこまで強くはないと感じます。

 

こういった創作品が、すべからくこのような流れとなるのかは不明ですが、小説とマンガで同じような流れを辿っているのは、興味深いと感じました。

もちろん、どちらが良い!という話ではないのですが、普段エンターテイメント性の高い最近の作品に触れる機会がどうしても多くなりがちなので、含蓄を多く含んだ過去の作品たちを読んでみよう、と考えるきっかけになりました。

 

みなさんの好きな作品、読んでみたい作品はなんでしょうか? 

蜘蛛の糸

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走れメロス

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手紙 (文春文庫)

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では。