でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

偏差値ってどう決まるのか。

学校のレベルを測る基準としての偏差値はどうやって決まるのだろうか、と疑問に思ったので、少し考えてみる。

 

偏差値の定義はWikipedia先生によると以下の通り。

ある数値がサンプルの中でどれくらいの位置にいるかを表した無次元数平均値が50、標準偏差が10となるように標本変数を規格化したものである。

分かるか分からないかギリギリのラインの表現です。

早い話、「その試験を受けた人の中でどのくらいの位置か」を表すものです。

ただし、これには前提があって、試験でのスコア分布に偏りがないことが前提となります。(100点満点のテストにおいて、50点付近に一番多くの受験者のスコアが集まり、50点以上・50点未満のいずれも100点・0点に近づくにつれて、少なくなっていくような山を描く必要があります。)

まー、今回は偏差値がなんぞや、ということを考えたいわけではないので、これ以上は割愛します。

 

で、大学ごとに偏差値って出ていますが、それってどうやって決まるのかな、と。

 

そもそもなのですが、偏差値って入学するうえでの学力の目安でしかない、という点が肝だと思います。

学校に入学してから卒業するまでの学力の向上度合いや進学先・就職先については偏差値には全く関係がない、ということを理解しておく必要があります。

 

また、偏差値は試験スコアの分布を表しており、試験難易度を表しているわけではない、という点も重要です。

受験時に利用される偏差値は、その学校に入学できる学生が、同一学年において相対的にどの位置にいるのかを表現しているだけです。(極端な話、他国において偏差値30と表現された学生が、別国に行けば偏差値70になる可能性もある、ということ。)

絶対的な能力を測る数値として偏差値は使えず、あくまでも相対的なものである点に注意が必要です。

 

では、学校側の視点、学生(親)側の視点、塾の視点のそれぞれで偏差値の決定要因を考えてみたいと思います。

 

学校側の視点

新規で作る学校であれば偏差値は決まっていないし、既存の学校であれば偏差値は決まっています。

いずれにせよまずやるべきは、どんな学生(=どのレベルの学生)に入学してもらいたいか、を考えることです。

そのためには、学校のポジショニングを考える必要があり、どういった社会的要求に答えるのかを深く考える必要があります。(既存学校であればすでに決まっていることも多いでしょうが。)

それに基づいて、入学試験では入学NGとなる下限条件を設定することが必要です。(本来であれば、求める学生像から乖離している学生は入学OKとすべきではないので、下限条件だけでなく上限条件も設けることが必要です。要は、無茶苦茶優秀な学生を入れない、という選択肢を持つ、ということです。)

 

そうすることで、ターゲット学生と試験内容に関連が生まれ、学校側が作る試験難易度が決まります。

ここで大切なのは、学校側は偏差値をコントロールできない、という点です。

(学校側が適切に学生を振るい落としていけば、ある程度コントロールできるかもしれないですが、狙っている学生が受験してくれるかどうかは別の話)

あくまでも、ターゲットとなる学生を定め、その学生らを評価できる試験問題を準備することまでしか学校側はコントロールできない、ということです。

地方自治体によっては学校側が問題を作れないケースもあるかと思います。

 

学生(親)の視点

現在の教育においては、学生は自身が行きたい学校を偏差値を参考にして進学先を選択しています。

もちろん、先進的な親や子どもであれば、偏差値以外の要素も使って進学先を選択しています。また、工業高校や商業高校、高専などの一領域に特化したような学校においては、(偏差値の影響もゼロではありませんが)偏差値以外の要素で進学先を選択しています。

では、偏差値に比重を置いて進学先を選択する場合について言及しますが、結論は簡単です。

自分の偏差値=学校の偏差値となるような進学先を選択します。

もちろんできるだけ頭のいい学校(=偏差値の高い学校)に行ってほしいと願うのが親心で、そのためには自分の偏差値をできるだけ上げてあげたい、と願うのが親です。

このような形で、学生(親)は偏差値の消費者(ユーザー)です。

偏差値は基本的に学校・塾から与えられるものであり、それを使うのが学生(親)という構図になります。(なので、学校や塾は偏差値を気にします。)

 

塾の視点

塾は、学校と生徒を結びつけるハブ機能を持っています。

短絡的な視点で言えば、塾の仕事は相対的に有利な立ち位置となるよう学生の学力を上げることが目的ですが、その学生が希望する学校に進学できるようにすることが本来のゴールでありその支援をするのが塾の役割のはずです。

そのためには、学生が相対的にどの位置にいるのかを明確にし、どの学校がその学生にとってマッチするのかを明確にする必要があります。

従って、塾の仕事で大切なのは、

  • 学生の相対的立ち位置を明確にする(=学生の偏差値を可視化する)
  • 学校の相対的立ち位置を明確にする(=学校の偏差値を可視化する)
  • その二つをマッチさせる

ということに尽きます。

大手の塾(河合塾代々木ゼミナール等)では、自分たちの模試を学生に受けさせます。(収益の確保という側面もあるでしょうが。)

(おそらく)その模試の結果を用いて、学生と学校の偏差値を付けます。

それにより、学生自身はどの学校を受験すれば進学できる可能性が高いのか低いのかを把握することが可能になります。

つまり、偏差値は塾が提供した模試を通じて学生・学校の偏差値を決定する。ということではないかと。

 

まとめ

受験者が毎年変わる以上、必ず偏差値は変わっていきます。

それに本来の偏差値という意味では、模試での結果を使った偏差値ではなく、試験当日の受験者と問題で学生・学校の偏差値を算出すべきなのですが、試験が終わった後に偏差値を気にする人はいないので、純然たる偏差値は誰も算出していません。

そんな偏差値に惑わされることなく、自分たちがやりたいことを実現できるような社会が作れる方が私は価値があると思いますが、いろいろな価値観や考え方があるので、すぐには変わらないでしょう。

そんな考え方を少しずつでも変えていけたらいいな、と思うので、ここでの情報発信や別場での活動をしていこうと思っています。

なお、ここで述べている内容は事実というわけではなく、私が考えただけの内容なので、その点はご注意ください。

 

では!