でわひさしの日記

世の中、教育、仕事、趣味などに関して、日々感じたこと・考えたことをつらつらと。

奨学金問題で問題なのは、制度ではないでしょ。

前回は新入社員向けの話をしましたが、4月は入学の時期でもあるので、数年前から話題に挙がるようになった”奨学金問題”について私の意見を書いておきます。

この話を通して、これから大学に入る方々には、世の中に対する視点を持ち、意識・行動を少しでも変えてもらえたら、と思います。

奨学金制度を活用する・しないに関わらず、ご参考になればと。

 

そもそも”奨学金問題”って何?

例えば以下の記事のような問題です。

www.newsweekjapan.jp

簡単にまとめるとこんな感じ。

  • 昔(大学生の親世代が思っている)よりも、入学金+授業料は公立・私立問わず高くなっている。
  • かつ、大学進学率が高くなっていくにつれて、経済的なゆとりがない人も大学に入るようになったことで、奨学金制度を使う人が増えた。
  • 結果、奨学金を返済できない人が増えてきたことで、自己破産や果てには自殺といった問題が露呈してくるようになった。

すごく端折っていますが、まずこういった問題があることを知ることが大切です。

特に奨学金を使っている人はよく理解しておくべきです。

 

 

そして、これらの問題に対してよくある議論が以下のようなものです。

<A:貸した人を守る派>

  • 借りたお金を返すのは当たり前だろ。

<B:借りた人を守る派>

  • 奨学金は教育(次世代の人材を作る)元手なのだから、返済義務を無くすべきだ。(=給付型の奨学金とすべき)
  • 返済を免除する条件を緩和すべきだ。

端的に言えば、「奨学金をローンとしてみなすかどうか」「ローンとみなす場合、教育目的なので条件を緩和すべきか否か」という議論であり、結局奨学金という”制度”の話をしています。

 

奨学金問題ってこういう議論をし続ける限りは解決しないと思います。

例えば、全ての奨学金を給付型にした場合、一時的には問題が解決しますが、奨学金の拠出元の負担額が増えるのは明らかなので、永続的に続けることは不可能でしょう。

一時的に解決することに意味はないでしょう。

 

この問題に対しては、制度をちょこちょこいじるのではなく、国レベルで取るべき施策と個人単位で取るべき施策があると考えています。(自治体や団体は制度を頑張ってよくしてください。)

これを読んでいる学生の方々に意識してもらいたいのは後者の個人単位で取るべき施策のほうですが、まずは国レベルで取るべき施策から述べたいと思います。

 

国レベルで取るべき施策

すごーく簡単です。学校数を減らせばいいんです。

大学数を減らして、1大学あたりの入学者数を増やせば、奨学金問題は問題にならなくなります。

 

学生向けにもう少し詳細に記載します。

<大学側の論理>

大学の売上を構成するのは、受験料+入学金+授業料です。

それぞれを因数分解すると、

  • 受験料 = 受験者数   × 受験料
  • 入学金 = 入学予定者数 × 入学金
  • 授業料 = 在校生数   × 授業料

少子化が進んでいることを考えると、右辺の”数”は減る傾向にあり、かつ数多くの大学が学生を奪い合っています。

大学が同じ規模あるいはそれより大きな売上を上げるためには、右辺の”料”を上げるしかありません。

なので、このままでは今後も大学が学生個人に負担させる金額は増えていくでしょう。

そこで”数”を奪い合っている大学数を減らして、残っている大学に人が集まるようにすれば、1大学あたりの”数”は増え、個人負担となる”料”をむやみに上げなくとも大学経営としては成立します。(大学がさらなる売上を狙いに行くと”料”も増えていきますが。)

そのため、不要な大学を減らせばよいのです。(自由競争からは外れてしまいますが)

 

 

ちなみに、個人単位での話につながりますが、より残酷な言い方をすると、大学に行く必要もないのに奨学金を支払って大学に行っている人が多すぎる、というのが問題です。

周りが大学に進学するから進学する人も多いでしょう。しかし、大学に行くことによって失う時間・お金と得られる効果の比較ができていない人が大量にいます。

 

 

そもそも、大学全入時代の今、大学に行っていること自体に差別化要素は無いです。

むしろ高校を卒業してからの4年間をどのように使うのか、という視点を個人単位で持つことこそ大切です。

高卒で働いている人の立場から言えば、卒業後の4年間が、大学に入っている人の4年間よりも意味があり、世の中に対して貢献できることが言えれば「勝ち」なんです。

これからの時代は大学が意味を持つ時代は終わっていき、個人に属する何かが意味を持つ時代に変わっていくので、そこに意識を十分に向けてみてください。(この辺の話はこちら。)

 

話を戻すと、行って効果のない大学であれば、行く必要なんてないんです。

効果が無いにもかかわらず、自分の時間と人から借りたお金を失って大学に通い、就職して破産するって、どう考えてもおかしいでしょ?

これはいわゆる偏差値の低い大学だから行く必要が無くて、高い大学だから行く必要がある、という話ではないです。

要は、その人にとって行く意味があるかどうか、です。

 

その観点においても、行く必要が無い人が不用意に大学に行かないようにするためにも、大学の数は減らせばいいと思います。大学の数を減らしたら、そこで働いている人以外には、良いことしかないと思うんですけどね。 (補助金も減るし。)

 

 

ではこの流れで、

個人単位で取るべき施策

現時点で大学数が減っているわけでもないので、国や自治体に依存しても何も生産的なものは生まれません。また、今この瞬間奨学金制度が変わるわけでもないので、学生個人が最大限できること、という視点で考えたいと思います。

端的に言えば、能力を向上させて世の中から必要とされる人材となれ!です。

今回の問題の本質は、奨学金をもらって大学に通っているにもかかわらず、就職先の給料では奨学金の返済ができていない、ということです。

そうなると、返済ができない理由は単純で、

  • 収入 - 費用 = 利益

でしかないので、①収益が不足している or ②費用が多すぎるの2択です。

 

②に対して、費用を減らす手法も取りえますが、費用の中に奨学金の返済や家賃等の固定費があり、これらを減らすのは困難です。(これらを減らすことができるのであれば、ぜひ減らしてほしいところです。)

また、何のために大学に行っているのかを考えれば、コストを減らすことを目的に大学に行っているのではないでしょう。

①に対して、収益を増やす、つまり高い給料をもらえるようにする、これに尽きます。

 

そのためには、大学の4年間で得られるものを最大限高めていただきたいです。

大学の勉強をシャカリキにやるのもよし、サークル・学生団体に真剣に取り組むもよし。

ただ、就職活動のために、良い就職先から内定がもらえるようにするために、頑張るのはやめてほしいです。

そんな短絡的な目標設定で頑張るのではなく、「市場から求められる人材」になるよう最大限の努力をしてもらいたいです。(理由はコチラ

 

そうすれば奨学金の支払いが滞るなーんてことは起きないはずです。

 

 

 

ちょっと長くなってしまいましたが、大学に入る人に向けたメッセージを最後にまとめます。

  • 世の中にはいろんな問題があるので、ぜひそれに目を向けてください。
  • 高卒の人がこれから過ごした4年間の方が意味がある、と感じないよう、自分の価値を向上させるような4年間を過ごしてください。

ぜひ実りの多い大学生活を過ごしていただければと。

では。