前回のエントリで平成時代を世の中の変化と教育の変化という2つの観点で振り返ってみました。
今回は、それらを踏まえながら次世代(仮に平成と同じ30年)で必要となる教育の形を考えてみたいと思います。なお、今回対象とするのは前回同様日本の教育システムです。
1.世の中がどう動いていくか
1.個人最適ビジネスの加速
平成時代は全体最適⇒個別最適へのシフトが進んだ時代でした。その流れは今後もしばらく続くと私は考えています。
すでにオフライン・オンラインのいずれにおいても、個人に最適化された商品・サービスの提供は賑わいを見せています。以前であれば画一的な販売しかしていなかった枕でさえも、オーダーメイドのような感じで構成してくれるところもあります。(いずれレビューしたいと思います。)
これまでは一部の富裕層のために企業側もオーダーメイドは提供してきていましたが、イージーメイドくらいの感覚で様々な製品提供が増えていくと考えます。また、価格も今よりは安価になっていくことが予想されます。ZOZOTOWNが始めたZOZOスーツはまさに代表格だと思っています。商品自体は既製品だけど、個人の体の特性に合わせたものを提供する形です。あとは、既製品のサイズパターンを増やすだけで十分オーダーメイドに近い感覚での商品販売が可能となります。
すでに多様化してしまった世の中を画一的に戻す手段は、物質的な豊かさを落とす以外にはありえません。例えば、戦争が起きて生活ができなくなる、大災害が起きて住居が無くなるといったことです。そうすれば再度、家・食事といったマズローの欲求段階説の下位欲求を求めるため、画一的な全体最適ビジネスに戻るでしょう。災害についてはいつ起きるか分からないですが、日本全土が同一状態になることは考えにくいです。
そのため、今後も多様化した世の中に合うような個別最適ビジネスが加速していくと考えています。
2.序盤は不景気
次の30年を考える際に直近数年を考えると久しぶりの不景気が訪れると考えています。
オリンピック特需の終了の直接影響と考えています。そもそも設備投資がほぼ完了している日本において公共投資をガンガン仕掛けていくきっかけ自体がオリンピック終了後はあまりないです。やはり景気を押し上げるためには建設に代表されるような大規模投資が不可欠です。2025年の大阪万博もありますが、果たしてどこまで影響があるかは不透明です。
3.少子高齢化は続く
オリンピック後も景気を押し上げる手段があるとすれば、少子高齢化となった日本でお金を一番蓄えている年配の方々の貯金を市場に流してもらうことでしょうか。
子ども世代は少なく、高齢者が多い世の中なので、子どもの立場からすれば生まれた時点で閉塞した世の中だと思います。日本市場だけで勝負をかけようとすると限界は来ます。なんせ隣には10億の中国がいるのだから、日本と中国で同じ頑張りをするなら、中国のほうがよほどやりがいもあります。
ちなみに、現在の人口は約1.2億人ですが、30年後の2050年には0.9億人と予想されています。
2.求められる教育システムとは
個人最適ビジネスの加速が進むため、これまでと同様の「同じゴールをみんなで目指す」という教育モデルではないことは確かです。高校卒業後、東大を目指す人もいれば、Youtuberになる人がいても良いし、それぞれがお金を得る手段を持つ時代です。一人一人に合わせた学習スピードにしよう!というのではないです。そもそも教える内容が時代とマッチしていないので、スピードを変えたところで意味はないです。
また、不景気(一時的かも)+少子高齢化という閉塞した状況なので、政府や企業に頼っていては生活は向上していきません。子どもたちは自分たちの力で未来を作れるようにならないといけないです。
その状況を鑑みると、教育には二つの力を備えさせることが必要と考えます。(かつ、これまでないがしろにされていた能力です。)
- 自分のゴール(目標)を見つける力
- ゴール(目標)にたどり着く力
1.自分のゴールを見つける力
個人最適化された世の中を生き抜くためには自分の人生のゴールも自分で見つける必要があります。昭和・平成初期のような〇〇メーカー・〇〇銀行に入れば安泰、といった価値観は吹き飛んでいくので、自分のゴールを自ら作れない人は他人に依存した生き方しかできなくなります。他人に依存した生き方では自分の人生を決められないです。(その弊害は別途書きたいと思います。)
自分のゴールを決めるためには既存の学校教育では不足しています。これまでの価値観になかったものなので、授業を変えるだけではだめです。英語やプログラミングのような小手先の技術であれば、今の先生方にやってもらうことも可能ですが、自分のゴールを決めることを伝えるためには、学校の先生自身もその経験を積んでいることが必須ですが、昭和的発想で先生になっている方もいるので現実的ではないでしょう。
きっかけがブラックな働き方から来ているため、思考の観点は不足していますが、これから教職に就く人のほうが、先生になるべきか否かを悩んでいる・考えているので、既存の先生方よりは良いと思います。
自分のゴールを見つける方法は一つではないです。が、私が考えている方法もあるのでどこかで触れたいと思います。
2.ゴールにたどり着く力
ゴールは見つけるだけでは意味がありません。そのゴールに向かって走り、達成するための力が必要です。ゴールが多様化されているので、たどり着き方も一様ではありません。ただ、ここはスキルのほうが大きな要素なので、既存教育でも多少は補えています。
例えば、「グローバルに飛び回りたい!」(ゆるいゴールですが)のであれば、英語・中国語といった言語習得のために学ぶ、「農業をやりたい!」のであれば、農業高校・大学に進学・農家に行っちゃう、といったアプローチをとる必要があります。
とはいえ、これはゴールが緩くても定まっていることが前提になります。
3.忘れちゃいけない社会性
以前のエントリで書いたように個人最適の究極は自己中の醸成です。
人が人として生きていくために社会性は必須の能力です。1・2を学びながら社会性を育んでいくことが今後の教育には必要不可欠です。
3.まとめ
少し長くなってしまいましたが、以上が今後求められる教育システムだと思います。
最後にさらっと書いていますが、個別最適と社会性のバランスのとり方は非常に難しいところだと思っていて、私としてもまだ解が見えているわけではありません。
ただ、この観点を無視して進めてしまう教育変化は非常に危ういものだと思っているので、様々な人と意見を交わしながら考えを深めていきたいと考えています。
では!